どこがマルエーなのか…という感じですがマルエーと言い張ります…
すれ違うような出逢いから、
時間をかけて始まる二人が好きなんです…!!
始まりの可笑しな日だった。
バシバシと無遠慮に文字通り叩き起こされて気分は最低で、普段おれにそうされなきゃ決して目覚めない弟が、耳元に繰り返し喚いていて五月蝿かった。
毎朝、自力で起きられるようになってくれればと祈っていた筈なのに、叶ってみればこれはこれで煩わしくて堪らない、なんて勝手なものだと思えたのは30分ほど経ってのこと。
なかなか聞き取ってやる気になれず、身を縮めて潜ったけれど、毛布を剥ぎ取られて余計に気持ちが逆立って、怒鳴ろうとした声は渇いた喉に絡んで低くなった。
最低の気分を最適に表した呻きにも怯まず、やけにキラキラと輝いた顔でルフィが指していた窓の外。
瞬時に心の棘が抜け落ちて、こんな珍しい事が起きたのにも、なんだか腑に落ちる。雪だ。
部屋着で飛び出そうとする腕を引き止め、ウズウズ、そわそわ、ちっともじっとしていない身体に無理矢理コートを着せて、踏み出した世界は真っ白だった。
コイツは、踏み出す度にギュッと鳴くのを面白がって、おれは真っ新な地面に残る跡を楽しんで。
暫くして振り返るともう随分な踏み荒らしようだ。
なんだか優越感をもって、ふふんと吐いたとき。
「あ…」
白い息の向こうに、ぼんやりと人影が見えてきた。
少しづつ近付くそれは、おれたちの汚した此処を通るらしい。
「残念、少し遅かったなァ」
思わず小さく呟いた。
此処はもう、自分の陣地かのような気分で、だからなんだかそいつの顔が気になる。
ざまあみろと待ち構えていると、そいつはどんどん近付いてきた。
…すっげェ仏頂面だ。半分くらいしか見えないけどじゅーぶん分かる。
今日はまだ背中の方で1人で騒ぎ続けてるルフィしか見てないし、おれも楽しんでたから驚いた。
けどまぁ、こんな寒さじゃ仕方ないかも知れな……え?
待て待て待ておっさん。
それ帽子じゃねェの?
口元が埋まるほどマフラーを巻いていても、その頭じゃ寒いと思う。
「…そりゃそんな顔にもなるか…」
汚しといてなんだけど、それでもそれなりに、綺麗な景色は残ってる筈だ。
面白くない。あんな面白ェ髪型の癖に。
「キレーなのに」
「エース!雪合戦だ!!」
最後の呟きは、脳天気な叫びに潰された。
ルフィが、返事を待つはずがない事なんて分かってる。
ひょいと身を屈めると、誘いと同時に投げたらしい雪玉が頭の上を越して行く。
このおれの不意をつこうとした浅はかな弟の為、顔面にお見舞いする雪玉を集めて立ち上がる。
あのおっさん、笑うこととかあんのかな。
滅茶苦茶に飛んでくる雪玉の全てを躱しながら、
どうしてかちらりと、そんなことを考えた。